近年、ドローンでの映像撮影が身近になる中、「ジンバル」と呼ばれるパーツの重要性が増しています。
「ジンバルが安定性をもたらす仕組みは?」「どんな場面でジンバルが役立つの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ジンバルの基本的な仕組みからおすすめのジンバル付きドローンついて解説していきます。
ドローンジンバルとは?映像を安定させる仕組みと役割
ドローンの映像がブレずに滑らかに映し出される秘密、それが「ジンバル」の役割です。
ジンバルは、ドローンに搭載される小型の安定化装置で、空中での微細な揺れやドローン自体の動きを打ち消し、映像がブレないようにカメラの向きを保つ働きをしています。
具体的には、センサーがドローンの傾きや動きを瞬時に感知し、モーターが反応してカメラの角度を補正することで、地上では実現しづらい安定した映像を可能にします。
このジンバルがあることで、映像がまるで手ブレ補正のかかったように滑らかに見えます。
特に、風の影響を受けやすい高空撮影では、ジンバルがないと大きく画面が揺れたり、見づらい映像になったりすることも多いです。
例えば、DJIのMavicシリーズなどに搭載されている3軸ジンバルは、ドローンが傾いたり急旋回した際にも安定した映像を保てるのが特徴で、映像品質を確保するために欠かせない存在です。
ジンバルの基本構造と働き:安定した映像の秘密
ジンバルには一般的に、カメラを水平方向と垂直方向の両方で安定させるための「2軸ジンバル」と、「ピッチ」「ロール」「ヨー」の3軸でカメラの動きを補正する「3軸ジンバル」の2種類があります。
3軸ジンバルの方がより高度な補正ができるため、映像を滑らかにする能力が高いとされています。
ジンバルは、カメラの角度を自動で修正するモーターと、ドローンの動きを感知する加速度センサー、角速度センサーから成り立っています。
ドローンが風などで傾いたり揺れたりすると、これらのセンサーが角度の変化を即座に検知し、モーターがそれに応じて微調整を加えることで、カメラが常に水平な位置に保たれます。
この仕組みが、ジンバルが「映像を安定させる」役割の要です。
例えば、強風の中での飛行でも映像が乱れにくい「dji mavic 3 pro」は、高感度のセンサーと強力なモーターを搭載し、プロの映像制作にも使用されることが多いドローンです。
こうした高性能なジンバルを搭載したモデルでは、一般的な家庭用カメラやスマホ撮影とは比較にならない安定感が得られます。
ジンバルの活用シーン:撮影が劇的に変わる場面とは?
ジンバル付きドローンが力を発揮する場面は、主に「動きの多いシーン」や「広範囲を捉えたいシーン」においてです。
例えば、山の斜面を登っていくサイクリストを真横から追尾したり、川沿いを進むカヌーを低空飛行で撮影したりといったシーンでは、ドローン自体が傾いたり速度を変えたりしますが、ジンバルがあることで映像は安定し、滑らかな映像を記録できます。
また、観光地でのパノラマ撮影にもジンバルは欠かせません。
例えば、ドローンを使って観光地全体を映し出しながらゆっくりと回転させて撮影する場合、ジンバルがなければ映像が揺れ、スムーズな回転が表現できません。
しかし、ジンバルの補正機能があれば、ブレのない映像を実現できるため、観光地の広がりや美しさを存分に引き出せるのです。
さらに、屋内での空撮や、人混みを避けながらの狭い空間での撮影でも、ジンバル付きドローンは活躍します。
ドローンの動きや周囲の物に応じて、カメラが自動で角度を補正するため、屋内でもきれいに安定した映像が撮れるのです。
このように、ジンバル付きドローンは、映画のような滑らかな映像を撮りたい場合や、プロフェッショナルな映像品質を求める場面で非常に役立つ存在です。
ジンバルの軸数による違いとは?2軸と3軸の特徴と選び方
ドローンジンバルは、映像の安定性を左右する重要なパーツであり、その「軸数」によって撮影の仕上がりが変わります。2軸と3軸の違いを理解することで、撮りたい映像のクオリティに応じた最適な選択ができるようになります。ここでは、2軸と3軸それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
2軸ジンバルと3軸ジンバルの長所・短所比較
上の画像は2軸ジンバルドローン
まず、2軸ジンバルは「ピッチ(上下の動き)」と「ロール(左右の傾き)」の2方向の動きを補正してくれる構造になっています。
これにより、水平を保った映像が撮影でき、簡単な空撮や風景撮影に向いています。
また、2軸ジンバルは構造がシンプルで軽量化しやすいため、小型ドローンに多く搭載され、価格も比較的抑えられています。
ただし、2軸ジンバルには短所もあります。ヨー(ドローンの回転)方向の揺れには対応できないため、風が強い環境や、ドローンが左右に大きく旋回するような場面では、映像が多少ブレやすくなります。
こうした状況でより安定した映像を求める場合には、3軸ジンバルが効果的です。
一方、3軸ジンバルは「ピッチ」「ロール」「ヨー」の3方向すべてを補正できる構造になっており、より精密な映像安定化が可能です。
【2024年最新版】価格帯別 ジンバル付きおすすめドローン5選
ジンバル付きドローンは、価格帯が幅広くさまざまです。
一般的にジンバルが付いたドローンは高価なイメージがあるかもしれませんが、実は予算に応じたコストパフォーマンスの良い機種も存在します。
ここでは、価格ごとに優れたジンバル付きドローンを紹介しながら、初心者からプロまでのおすすめモデルをご案内します。
5万円前後の初心者モデル
DJI Mini 2 SE
DJI Mini 2 SEは、コンパクトで扱いやすく、初心者から経験者まで楽しめるドローンです。
DJI Mini 2のシンプルなデザインと操作性を活かしつつ、コストパフォーマンスに優れたモデルとして登場しました。以下に、DJI Mini 2 SEの特徴をまとめます。
主な特徴
- 小型軽量設計
重さはわずか249gで、航空法の規制を受けにくい仕様になっており、手軽に持ち運べます。旅行やアウトドアでも負担になりにくいサイズです。 - 高画質なカメラ性能
2.7K解像度でのビデオ撮影が可能です。最大4倍ズーム機能も搭載されており、遠くの風景をしっかりと撮影できます。静止画は1,200万画素の高解像度で、日常や自然の風景を美しく撮影できます。 - 高い飛行安定性とジンバル性能
3軸のメカニカルジンバルが搭載されており、ドローンが揺れても滑らかでブレの少ない映像が撮影可能です。風速5級(約8.5~10.5m/s)にも耐える設計なので、屋外での撮影にも適しています。 - 簡単な操作性とアプリ連携
DJI Flyアプリと連携することで、簡単なタップ操作で初心者でもすぐに飛行が可能です。クイックショット機能も搭載されており、手軽にプロ並みの映像を撮影することができます。 - 最大飛行時間
最大31分間の連続飛行が可能なため、長時間の撮影も余裕を持って行えます。バッテリーを複数用意すれば、さらに長時間の撮影が可能です。
こんな人におすすめ
- 初めてドローンを購入する方:軽量で扱いやすく、基本機能が揃っているため、初心者に最適です。
- 旅行やアウトドアでの撮影を楽しみたい方:コンパクトで携帯性が高く、ジンバルによる安定した映像が撮影できるため、風景撮影にぴったりです。
- コストを抑えつつも、高品質な映像を求める方:Mini 2 SEは価格も抑えられているため、手軽に高画質な撮影を楽しめます。
DJI Mini 2 SEは、ドローン撮影の楽しさを手軽に体験できるモデルとして、映像のクオリティを重視しながらもリーズナブルに楽しみたい方に最適です。
10万円前後のモデル
DJI Mini 3 Pro
DJI Mini 3 Proは、コンパクトで持ち運びやすい設計ながらも、プロフェッショナル品質の撮影機能を備えた高性能ドローンです。Miniシリーズの中でも特に機能が充実しており、初心者から上級者まで多様なニーズに応えられるモデルです。以下に主な特徴を紹介します。
主な特徴
- 高画質な4K HDR動画
Mini 3 Proは4K HDRでのビデオ撮影が可能で、ダイナミックな映像を実現します。F1.7の明るいレンズを搭載しているため、暗いシーンでもしっかりと撮影できます。1/1.3インチのイメージセンサーにより、昼夜を問わず鮮明で細やかな映像が撮れます。 - 3方向障害物検知機能
前方、後方、下方の3方向に障害物検知機能を備えており、安全に飛行が可能です。初めての方でも安心して飛ばせるため、障害物の多い場所や都市部での撮影にも最適です。 - 撮影の自由度を広げる垂直撮影
Mini 3 Proではジンバルが縦方向にも回転するため、SNSに適した縦長の映像が簡単に撮影できます。InstagramやTikTokなどのSNSでのシェアを意識した撮影にぴったりです。 - 最大飛行時間34分(オプションで47分)
標準バッテリーで最大34分の連続飛行が可能です。さらに、インテリジェントフライトバッテリーPlusを使用すると、最大47分の飛行が可能になり、長時間の撮影に対応できます。 - アクティブトラックやフォーカストラックなどの撮影機能
被写体を追尾する「アクティブトラック」、被写体を中心にした円運動など、複数の追尾撮影モードが用意されています。自動で撮影を続けるので、初心者でもプロのような映像が簡単に撮影できます。 - 軽量設計で法規制にも適応
重さは約249gと、航空法の規制を受けにくい重量設計です。持ち運びやすさもあり、旅行やアウトドアでの活用にも最適です。
こんな人におすすめ
- 映像品質を追求したい方:4K HDR撮影や高感度なセンサーを搭載しているため、プロ品質の映像が撮りたい方に最適です。
- 初めてのドローンでも安全に使いたい方:障害物検知機能や追尾機能で、安全かつ簡単に操作できます。
- SNSでシェアする映像を撮影したい方:縦撮り機能で、SNSに適した映像を効率的に撮影できるのも魅力です。
- 長時間の空撮を楽しみたい方:最大47分の飛行時間に対応しているため、撮影に集中できる点もおすすめポイントです。
DJI Mini 3 Proは、コンパクトなボディに高画質の4K撮影機能と先進の安全機能を搭載し、初心者からプロまで幅広いニーズに応えられるドローンです。
特に映像品質にこだわりながらも手軽に飛ばしたい方に最適な一台で、日常の風景やアウトドア、SNS向けのコンテンツ制作にもぴったりです。
DJI Mini 4 Pro
DJI Mini 4 Proは、コンパクトで持ち運びやすいながらも、プロフェッショナルな性能を備えた最新のドローンです。Miniシリーズの中でも特に高性能なモデルとして、4K映像や高度な撮影機能を求めるユーザーにぴったりです。軽量で飛行規制が緩和されている国でも比較的自由に飛ばせる仕様が魅力です。
主な特徴
- カメラ性能:
- 4K/60fps HDR動画対応で、鮮明で高品質な映像が撮影可能。高精細な映像で、プロ並みの動画制作が行えます。
- 1/1.3インチ CMOSセンサー搭載で、夜間や低光量下でも明るくクリアな映像が撮影できるため、夜景撮影や薄暗い場所での撮影に強いです。
- デュアルネイティブISOにより、暗いシーンでもノイズを抑え、ディテールを鮮明に保つことが可能です。
- 高度な障害物回避機能:
- Mini 4 Proは前方・後方・下方の障害物を検知するトライディレクショナル検知システムを搭載しており、狭い場所でも安全に飛行できます。
- APAS(Advanced Pilot Assistance System)が搭載されており、自動で障害物を回避するため、初心者でも安心して操作が可能です。
- 飛行性能:
- 最大34分の飛行時間を実現し、長時間の撮影も余裕をもって行えます。
- O4伝送システムにより、最大20kmまで安定した映像伝送が可能で、広範囲での撮影やライブストリーミングもスムーズに行えます。
- スマート撮影モード:
- フォーカストラック機能で、被写体を自動追尾しながら撮影が可能。ActiveTrack 5.0が被写体をしっかり捉え続けます。
- クイックショットやマスターショットといった自動撮影モードを使えば、複雑な映像もワンタップで撮影でき、SNS向けのクリエイティブな映像制作が簡単に行えます。
- 持ち運びやすさ:
- 重さがわずか249gで、航空規制が厳しい国や地域でも比較的飛ばしやすいです。
- 折りたたみ可能な設計で、カバンやポケットにも収納しやすく、アウトドア撮影や旅行に最適です。
Mini 4 Proが選ばれる理由
DJI Mini 4 Proは、その軽量設計とプロフェッショナルな撮影機能を兼ね備え、初心者から上級者まで幅広いユーザーに適しています。4Kの高精細映像と、障害物回避機能により、初めてのドローン操作でも安心して飛行を楽しめます。また、プロ向けの機能がコンパクトに詰まっているため、日常の記録や趣味の撮影から、本格的な映像制作まで幅広く活用できます。
15万円以上のプロ仕様モデル
DJI Mavic 3 Pro
DJI Mavic 3 Proは、プロフェッショナル向けのドローンで、圧倒的な映像品質と飛行性能を備えています。2024年現在、このモデルは最新技術を取り入れたカメラシステムや強化された障害物回避機能などで、多くのクリエイターから支持されています。
主な特徴
- トリプルカメラシステム:
- Mavic 3 Proには、3つのカメラが搭載されており、焦点距離が異なるレンズでさまざまなシーンに対応可能です。
- 広角カメラ(20MP, 4/3インチ CMOSセンサー):広大な風景や詳細な被写体を撮影する際に使用。
- 中望遠カメラ(48MP, 1/1.3インチ CMOSセンサー):背景ぼかしを利用した被写体撮影に最適。
- 望遠カメラ(12MP, 1/2インチセンサー):最大28倍ハイブリッドズームが可能で、遠くの被写体も鮮明に捉えます。
- 映像品質:
- 最大 5.1K解像度での動画撮影が可能。これにより、より細かいディテールが求められるプロジェクトにも対応。
- Apple ProResコーデックに対応しているため、ポストプロダクションでの編集がしやすくなっています。
- 障害物検知と安全機能:
- 全方向障害物検知があり、特に複雑な環境での安全な飛行をサポート。
- APAS 5.0(高度なパイロット支援システム)は、障害物を自動で回避し、スムーズな飛行経路を維持します。
- 飛行性能:
- 最大 43分の飛行時間を実現し、長時間の撮影や広範囲の探索が可能。
- O3+伝送システムにより、最大15kmまで4Kのライブ映像をクリアに受信できます。
- スマート機能:
- フォーカストラック機能で自動追尾が可能です。ActiveTrack 5.0やポイント・オブ・インタレスト機能により、動く被写体をしっかり捉え続けます。
- クイックショットやマスターショットなどの自動撮影モードで、簡単にプロレベルの映像が作成可能です。
Mavic 3 Proが選ばれる理由
Mavic 3 Proは、プロ仕様の映像と飛行性能が求められるユーザーにとって理想的な機種です。映像制作においては、5.1Kの高解像度とProRes対応が大きな魅力であり、障害物回避機能も高い安全性を提供します。また、トリプルカメラシステムによって異なる撮影距離や構図に対応できるため、多様なシーンに柔軟に対応可能です。
DJI Air 3S
2024年11月現在での、DJIの最新モデルです。
ジンバルのトラブル対応と修理ガイド
ドローンジンバルは、映像を安定させる重要なパーツですが、頻繁に動くため、故障が発生しやすい部品でもあります。
突然のトラブルが発生しても慌てないために、よくある故障とその対処法、さらに修理サービスを提供しているメーカーについて知っておくことが大切です。
故障時の修理サービス:ジンバル修理が可能なメーカー
ジンバルが故障した際、修理を依頼できるメーカーやサービスについても把握しておくと安心です。
代表的な修理対応メーカーとして、まず挙げられるのはDJIです。DJIは主要なドローンメーカーの中でもアフターサービスが充実しており、DJI Care Refreshと呼ばれる補償サービスを提供しています。
これに加入していれば、故障時の修理や交換がスムーズに行われます。
たとえば、モーターの修理やジンバルの再調整が必要な場合も、迅速なサポートを受けられます。DJIのサービスセンターは、国内外に拠点があるため、数日以内に返送されるケースが多く、安心感があります。
100g未満ジンバル付きドローン
2024年10月現在、100g未満のジンバル付きドローンで一般向きに販売されている完成機は、市場にはない状況です。
軽量化と安定した映像を実現するジンバルの搭載は、技術的に挑戦が多く、100g未満でこれを両立するのは非常に難しいとされています。
自作機だったら個人で作っている人はいるとは思います。
ジンバル付きドローンについて まとめ
ドローンに搭載されるジンバルは、安定した映像撮影を可能にする重要な役割を担っています。
初心者の方は信頼性の高いDJI製品がおすすめです。
DJIの製品は安価なモデルから高性能のプロ向けまで幅広く、予算に応じて選べるのが魅力ですし、万が一不具合が起こった場合でも「DJI Care Refresh」に加入していれば、安い金額で迅速にサポートしてくれる為です。
この記事で気になるジンバル付きドローンがあったらチェックしてみてください。